【薬学部 有機化学 苦手】「一番好きな教科は有機化学」になるまでの軌跡

【薬学部 有機化学 苦手】「一番好きな教科は有機化学」になるまでの軌跡

【「この世で一番嫌いだった有機化学」が、私の一番好きな教科になるまで】

「この世の中で一番嫌いなものは有機化学です」――薬学部に進んで間もない頃、私は本気でそう思っていました。教科書を何度読んでも頭に入らず、講義のノートを見返しても理解の糸口がつかめない。勉強時間だけはかかるのに、解ける問題は少しも増えず、テストのたびに自信を失っていきました。

有機化学は薬学の柱とも言える科目。薬の構造や作用を理解するうえで欠かせない分野です。そんなことはわかっているのに、どうしても好きになれない、むしろ拒絶反応すら感じる――そんな状態がしばらく続きました。家族からも「単位を落とすのではないか」「モチベーションが消えてしまわないか」と心配され、私自身も不安に押しつぶされそうでした。いつのまにか、「きっと私は有機化学には向いていない」と決めつけ、逃げ腰になっていたのかもしれません。

そんなとき、有機化学を専門に教えている家庭教師の先生を紹介してもらいました。初回の体験指導では、私の過去の答案やノートをじっくりと見て、「なぜ理解できないのか」を分析してくれました。「この問題が解けないのは、反応の流れが見えていないから。暗記じゃなく、意味を理解することが第一」と、図解や模式図を多用して説明してくれたのが印象的でした。「わからないところを隠さなくていい」と言われたことで、安心して質問できるようになったのも大きな変化でした。

それから、週1~2回の指導が始まりました。先生は、反応機構を「ダンスの振り付け」に例えたり、電子の動きを「電車の進行方向」として表したりと、化学反応をイメージでとらえられるよう工夫してくれました。頭の中で曖昧だった反応が、視覚化によってつながり、意味を持ちはじめたのです。

学習は、基礎的な問題から段階的にレベルアップし、必ず「なぜこの反応になるのか」を自分の言葉で説明するよう求められました。最初は答えに詰まることも多く、何度も「うーん…」と沈黙していましたが、毎回「なぜ?」と問い返されるうちに、自然と反応の全体像がつかめるようになりました。論理的に説明する力も養われ、問題を解くこと自体が少しずつ楽しくなっていきました。

また、学習計画も私のペースに合わせて立てられ、無理なく継続できる設計でした。詰め込み型ではなく、「理解→確認→応用」の流れがしっかりしていたおかげで、知識が定着している実感がありました。過去には、試験直前になるほど焦っていた私が、先生のサポートを受けるようになってからは、「今やるべきことが明確で、必要以上に不安にならない」という状態を保てるようになっていたのです。

数週間後、私は初めて「有機化学ってちょっとおもしろいかも」と思い始めていました。そして迎えた定期試験では、これまでにないA評価を獲得。さらに次の試験では、なんとS評価まで取ることができました。かつて「この世で一番嫌い」と言っていた科目が、今では「一番好きな教科」に変わっていたのです。

自分でも驚くほどの変化でした。振り返って思うのは、適切な学び方、そして自分に合った先生の存在があれば、苦手は“思い込み”だったことに気づけるということ。そして、逃げずに向き合って少しずつでも理解できるようになると、その苦手が「得意」になり得るということです。

今、有機化学に苦しんでいる薬学生や高校生の方へ。私のように「何をやっても無理」と思い詰めているなら、どうか知っておいてほしい。“理解”は、努力と工夫次第で必ず積み上げられるものです。大切なのは、あきらめず、自分に合った方法で学び直すこと。その先には、きっとあなたの未来を変える瞬間が待っています。

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