【薬学部 6年生 物理 0点】0点からの大逆転劇!

薬学部 6年生 物理 0点

7月、国家試験対策の模試で、私は物理の得点がまさかの0点という結果を出しました。答案を見た瞬間、何も考えられませんでした。すべての設問に自信がなく、何を書いていいかも分からない。自分なりにマークした選択肢は、全て不正解。
高校時代から物理が苦手で、「薬学部では物理なんて出ないだろう」と勝手に決めつけて逃げてきた私に、国家試験の現実が突きつけられた瞬間でした。

答案を手にした帰り道、「もう合格なんて無理かもしれない」と思いながら駅のベンチに座り込んだ記憶があります。その日は何も手につかず、夕飯も喉を通らなかったほどでした。

それでも、諦めたくはありませんでした。ここで逃げたら本当に終わってしまう――そう思い、思い切って家庭教師の先生に助けを求めました

先生と出会った初回の面談で言われたのは、「今のあなたに必要なのは“大学内容”ではなく、高校物理の再構築だね」という言葉でした。そこから、力学・電磁気・熱・波動といった基礎分野を、まるで1年生に戻ったように一つずつやり直す日々が始まりました。

まず取り組んだのは、力学の公式を一行ずつ自分で導き直すこと。F=maがどこから来るのか、エネルギー保存則とは何か。さらに、グラフの面積を指で数え、単位換算やベクトルの扱いをノートいっぱいに書き連ねる毎日。自分の中にある“穴”をひとつずつ埋めていく感覚がありました。

でも、最初のうちは辛かったです。理解が浅く、式もすぐ忘れ、なぜか間違える。同じ問題を解いても点が伸びない。「もう無理です……」と、何度も弱音を吐いていたと思います。

それでも先生はブレることなく、いつも淡々と次の課題を提示してくれました。
「今は種をまいている段階だから、結果はあとからついてくるよ」
その言葉に、私は毎回少しだけ救われていました。

ある日、ベクトル分解の問題を解いていたとき、それまでごちゃごちゃしていた力の向きがスッと頭に入ってきて、「あれ? 分かるかも!」と声が出ました。まるで、頭の中でパズルのピースがはまったような感覚。その瞬間から、演習に対する姿勢が変わっていきました。

そこからは、先生の指導で毎回のタイムアタック演習が始まりました。制限時間内に式を書き切る練習を重ね、何度も同じ問題を解いて、自分の中に計算の「型」を定着させました。時間内に解き切れたときには、小さな〇をもらい、その達成感が少しずつ積み重なっていきました。

やがて、模試の点数にも変化が現れました。最初は0点だった物理が、ある模試では30点台→50点台→70点台と右肩上がりに上昇。自分でも驚くような変化で、「逃げなければ、ここまで変われるんだ」と実感しました。

その成果は、卒業試験にも表れました。ずっとつまずいていた物理の問題でも、「これは解ける」「この選択肢は消せる」と自信を持って取り組むことができ、全科目を無事一発でクリア。

そして、迎えた国家試験本番。試験会場ではもちろん緊張もありましたが、頭の中は不思議と冷静でした。「これは何の分野?」「解ける問題を先に」――先生と何度もシミュレーションした通りに、落ち着いて問題に向き合うことができたのです。

結果はストレート合格。物理で0点を取って絶望した私が、今は白衣を着て薬剤師として現場に立っています。合格通知書を手にした瞬間、泣きながら「信じられない、でもやっと報われた」とつぶやいていました。

今振り返ると、物理という科目そのもの以上に、「苦手だから」「もう無理だから」と思い込んでいた自分の思考の壁を越えることが、何よりも大きな意味を持っていたと感じています。

逃げ続ければ、それはいつまでも壁のまま。
でも、向き合えば、乗り越えるための階段に変わる――。
この体験が、それを教えてくれました。

いま、もし苦手科目に立ちすくんでいる誰かがいたら、伝えたいです。
0点からでも、変われます。ゆっくりでも、一歩ずつ進めば、結果はきっとついてきます。

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